不景気になると円が高くなるのはなぜ?

ずっと疑問だったのが、世界的に景気が悪くなり、株価全体が下がったりすると、日本円が高くなることでした。ある会社の調子(財務状況)が悪くなると、会社の株価が下がるのが普通です。だとすれば、GDPが伸びず人口構成や国の債務残高など、いい材料が少ない日本の通貨を、あえて景気が悪くなった時に持ちたがるのはなぜか。

せっかくのGWでもあるし、前に購入した本を読んでまとめてみました。自分なりに解釈すると、次のような要因があるそうです(本当はもっと色々書いてある)。

 

弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ)
 

 ○ 前提

・僕たちが円高円安と言っているのはドルと円の関係(本当は円とユーロ、円とトルコリラ、円と中国元など全体で見ないとダメらしいが、ここでは円ドルで見続ける)

・国の経済成長力と為替相場円高・円安)は関係ない。

○ 景気が悪い時に円が高くなる(買われる)理由

1 日本は金融資本市場が大きく、資金も豊富なので好景気の時に円を使って投資することが多い。景気が悪くなるとそれが戻ってくる。

2 日本は金利がかなり低水準で、好景気の時は他国は金利が高くなり円を売って他の国に資金が流れやすい。景気が悪くなるとそれが戻ってくる。

3 日本は世界2位の経常黒字国で、資金が流れてくる(ドルなどが入ってくる)傾向があり円の価値が相対的にあがる。これは経常的(景気の良し悪しに限らず傾向としてあるの)で、景気が悪くても急に変わらない。

4 日本は世界最大の純債権国で、ドルなどの外貨を多く民間が保有しているので、景気が悪くなると損失を少なくするために円を買う傾向がある。

 

 ということらしいです。3や4は今後、ドイツに抜かれそうとか色々あるらしいですが、今のところこの傾向が継続している、また、基本的にはドルも円と同じで、景気がいいと出ていく通貨であるようです。

 少なくとも、日本は私が思っている以上に資金が多くて流動性も高い環境にあること、また通貨とは国家の財政というより民間も含めた全体の動きを反映しているということはわかりました。実際に今回、2月以降の新型コロナに伴う日経平均の下落と対ドルの円高傾向が、3月中旬まではかなり相関関係が大きかったし「やっぱり!」と思っていました。

 ところが、その後必ずそうでもなくなっているところが深い…。これについては日経新聞の記事にも取り上げられていたので、またまとめてみたいと思います。