在宅勤務で能率が上がる?下がる?

  新型コロナでテレワークが話題になっています。特に在宅勤務って、本当に能率が上がるのかな、もしそうならやってみたいな、と思っていたところ、読んでいた本の中に面白い記述がありました。

「・・・吉野作造は、ある労働者から聞いた話を紹介している。その労働者の妻は紙漉き工場で働いていたが、工場が火事で焼けてしまったため、一時的に自宅で仕事を請け負うことになった。すると、それまで工場で朝八時から夕方六時までかかっていた分量の仕事が、四時間足らずで終わってしまったのだ。「こんに働けるはずがない」と本人も不思議がっていたという。」【100年前から見た21世紀の日本 大倉幸宏著】

 本では原因を無意識の「社会的手抜き」、だから賃金の「出来高制を」と流れていましたが、それにしても紙漉き(すき)という作業で倍速とは信じられません。

 ただ、自分の職場環境から考えても、在宅だと ①上司の急な呼び出しや電話など邪魔が入らず、まとまった時間で思考編集できる ②アウトプットを出すために自分に最適な環境(好きな音楽、室温、喫煙し放題等)で作業できる ③通勤往復の時間体力ロスがないどころか、ストレスを軽減する時間にあてられる ので、能率が上がる気がします。

 もちろん、チームメンバーやステークホルダーとのやり取りの非効率、対面ディスカッションによる刺激やアイデア出しの機会喪失、サーバやプリンタ、関連紙資料からデスクや椅子まで「働く環境」の未整備など、在宅勤務のデメリットは多くあります。それでも、紙漉きのおばちゃんが倍速で仕事を終えたなら、色々な技術を組み合わせれば、僕も在宅勤務でもっといいパフォーマンスが、と思うのです。

 通勤時間帯の人出は汐留で2割減というデータ(3/8 日経電子版)も、最近実感としてわかります。また 50年ほど前の日本では6割弱が自営業者、つまり在宅勤務に近い形態の方が多かったと聞けば、出勤が当たり前というのも、頭が固すぎる気がしてきました。メリデメはあっても、もっと真剣に在宅勤務をイメージする働き方をしてみたいと思います。個人的には、月・水・金は事務所や出張、火・木は在宅の「ハイブリット勤務」が理想です。